自由を求めて

セミリタイアを目指す40代会社員の日々感じたことの記録をしていこうと思います。連絡先はkenkou146@gmail.comです。

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師弟を読んだ感想

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師弟 棋士たち魂の伝承

師弟 棋士たち魂の伝承

 

 [すべてを将棋に賭けた人たち]

6組の将棋界の師匠と弟子にインタビューをした上でエピソードを著者がまとめた構成となっています。それぞれの師弟で独立した章となっています。読みやすい文章で興味深い内容でした。知り合いが持っていたので貸してもらって読みました。読んで思ったのは将棋界というのは当たり前の話ですが将棋に人生を賭けた人の集まりなんだなということです。

 

心臓病で生死をさまよいながら九州の離島から家族と一緒に大阪に移り住みプロ棋士を目指す少年。小学生名人になってからプロを目指し高校に行かずに将棋に集中して25歳の時に年齢制限ぎりぎりでプリになった人など。10代20代を将棋に注いで生きてきた人たちの集まりです。

 

10代20代を将棋に捧げてその結果なれなかった人たちも多勢います。奨励会の8割はプロになれずに将棋界を去っていくそうです。プロと名乗っている人たちは全員その勝ち抜いた2割なわけです。その勝ち抜いた2割の中でまた激しくしのぎを削る戦いが続いていくのです。

 

天という麻雀という漫画で「わしらそういうレベルの麻雀やっとるんや。そうやろ兄ちゃん」というセリフがありました。これはとてつもない高いレベルの麻雀を俺たちはしているのだということを言っているセリフです。将棋界はまさに命を削ったような「そういうレベルの将棋」をしているということです。

 

これを読んで藤井君の天才ぶりを改めて感じました。そういう人たちを相手に14歳の少年が29連勝をしたわけですから、とてつもないことです。実際にはすべてのプロが将棋にすべてを注げるわけではありません。生身の人間だから他のことに興味を持ったり誘惑もあります。

 

そこらへんも将棋のプロの苦悩のひとつです。本当にすべてを注げる人が将棋の天才であり藤井君もその一人だと思われます。

 

[将棋の天才でありがながら高校大学に行く人たち]

将棋の天才で16、17歳でプロになれたのに高校や大学さらには大学院に行くような人もいます。佐々木勇気というプロは16歳でプロになったにも関わらず高校に行きました。高校に行くより将棋に集中したほうがいいと言われたこともあったけど高校に行ったことは後悔していないといいます。

 

高校に行った時間はかけがえのない時間だったとのことです。糸谷8段は大学院まで行きながら竜王というタイトルまでとっています。人間として学問が必要だと思ったそうです。どちらも立派としかいいようがありません。僕は高校時代は刑務所にいるとしか思えなかったし記憶から消せるものなら消したいくらいです。

 

大学時代は無駄とは言わないまでも勉強はまったくしたいという気持ちはなくただダラダラと過ごしていました。彼らは将棋の天才でありながら人としてもしっかりしていて読んでいて劣等感を感じました。将棋以外はダメ人間というほうが見ていてホッとすると思うのですが今は将棋以外もきちんとしていないと世間がゆるしてくれないので人間的にも優れた人が多いのかもしれません。

 

[将棋のプロが幸福かどうかわからない]

好きな将棋で生活していけるなんてうらやましいという思いがありますが将棋のプロは幸福かどうかは判断が難しいです。まあそれはどんな職業でもそうかもしれません。あまりにも勝負が苛烈なので将来が不安定と言えます。半分より上まで食い込めればはっきり経済的には安定しそうです。

 

しかし半分より下となるとけっこう厳しいです。さらに年をとるとだんだん弱くなっていきます。若者に負けまくる運命が待っています。若い時にどれだけ勝っておけるかが大切になります。せっかくプロになれたのにあっという間にフリークラスに落ちてしまい引退に追い込まれるような人もいます。

 

タイトルとれたりA級に行ける人はプロになってよかったという事に迷いはないでしょう。しかし下のほうで負け続け引退に追い込まれる危機に怯えながら生きるというのはあまり幸せとは思えません。すべて承知の上でプロを目指したのだから仕方ないことではあるのでしょう。プロになるための競争に脱落した人のほうが幸せになっている確率は高いかもしれません。

 

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[まとめ]

プロ棋士のさまざまなエピソードがのっており興味深く読みました。読む前と読んでからでは印象が変わった人も何人かいます。特に糸谷8段は見た目がオタクっぽい感じで変人のエピソードを多く聞いていたのでワガママなタイプの人間かと思っていたらそうでもないようです。

 

人生をかけた人間が勝負しているから面白いのでコンピューターがいかに強くなろうが将棋界にとって脅威ではないと思います。今後将棋界がどうなっていくのか見続けようと思います。

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