[最初に働いた環境が基準となる]
人間は最初の刷り込みが非常に大事です。それがその人の基準となるからです。労働環境も最初に働いた環境が常識となり基準となる可能性が高いです。
労働基準法が守られないのは別に今になって始まったことではなくずっと昔から守られていませんでした。日本の歴史上、守られたことはないのです。
当然、現在の権力者で労働基準法違反を厳しく取り締まるように状況を変えうる人たちも若い頃から労働基準法が守られない状況で働いていました。
有給は消化しない、サービス残業当たり前、怒鳴られてもじっと耐える、そう言った労働環境が当たり前だと思っています。
職場のある年配の人を見ていても、そのように感じます。この人はかなりまともな人間ですが有給は基本的に消化すべきでないと考えています。
サービス残業もどんどんこなして、そうするのが普通と思っています。恐らくは最初に働いた環境がそうだったので、そう言った働き方が体に染み付いているのでしょう。一種の洗脳です。
権力を持っている人間や多くの人が労働基準法は破られて当然だと思っていることこそが労働基準法が守られない理由の一つなのです
[悪い慣習ほど後の世代に受け継がれる]
悪貨は良貨を駆逐するという言葉があります。慣習にも同じことがいえます。悪い慣習は良い慣習にとって変わりやすいです。逆に良い慣習が悪い慣習にとって変わるのは至難の業です。
仮に労働基準法を守っていない企業が守るように改めようと思っても様々な圧力がかかり改善する可能性は低いです。反対に守っている企業が守らなくなるのは、あっと言う間です。
人間は自分にされたことを他人にしたくなる生き物です。軍隊でも部活動でも刑務所でも先輩にイジメられた後輩は自分の後輩をイジメるようになります。
職人の世界でも先輩の技を見て盗むという話しをよく聞きます。そんなことしてないで、きちんと教えたほうが効率的だし覚えるのが速いはずです。
それでも自分が苦労して覚えたのだから後輩にも簡単には教えない、後輩が楽をするのは許せないという心理があると思われます。ほとんどの人間にはそう言った心理があるはずです。
それと同じで労働基準法が守られず苦労して仕事を覚えた人は後輩が楽をすることが許せないのです。こうして悪い労働環境はきっちり保存されて後世に残っていきます。
[取り締まる人間の働く環境も労働基準法が守られていない]
恐らく労働基準法違反を取り締まる側の人たちも労働基準法が守られていない環境で働いています。法律を作成するエリート官僚は夜遅くまで過労死寸前まで必死に働いていそうです。
警察は体育会系で厳しい縦社会です。休日返上で働くことも多そうです。企業を糾弾すべきマスコミは夜討ち朝駆けで激務です。
取り締まる人達はエリートでありハードワーカーです。労働基準法を守れなんて甘えたこと言ってるなと思ってそうです。本気で取り締まるはずがありません。
[まとめ]
労働基準法違反を厳罰化できない理由は一言で言えば人間は変化を嫌うということです。長く続いてきた慣習を変えるのは30年引きこもりしていた人を就職させようというくらい難しいです。
日本人の気質を考えると絶望的と言っていいです。セミリタイアを目指して働いている間は過労死しないよう自分で自分を守るしかないのでしょう。