自由を求めて

セミリタイアを目指す40代会社員の日々感じたことの記録をしていこうと思います。連絡先はkenkou146@gmail.comです。

スポンサーリンク

早坂吝の「○○○○○○○○殺人事件」の感想 ネタバレなし

スポンサーリンク

 

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

 

 [まったく新しい推理小説]

この小説はいきなり「読者への挑戦」から始まります。読者への挑戦とは作者が読者に対して謎を解くすべての鍵は小説に書いたから謎を解いてみろと挑戦状を書く事です。通常は小説の途中にでてくるものです。それがいきなり冒頭ででてくるという話に興味を持ち読んでみました。

 

確かにいきなり「読者への挑戦」で始まっていました。しかもけっこう挑発的です。タイトルの〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件の〇は伏字を意味しています。つまりタイトルをあててみろという意味になっています。トリックは難しくて当てられないだろうからせめてタイトルを当てて楽しんでくれということでした。

 

この推理小説は孤島、クローズドサークル、密室などがでてきます。これでもかというくらい典型的な推理小説なのですが読み終わって思ったのはまったく新しいジャンルの推理小説だったということです。もしかすると僕が知らないだけでそういうジャンルが確立されているのかもしれませんが僕には完全に新しく衝撃を受けました。

 

[確かに真相とトリックには驚かされた]

トリックは作者が言うように読者が気がつくのが非情に難しいです。というかわかるわけないだろと言いたくなるレベルです。さらにそのトリックも論理や発想のすごさに著者に尊敬の念を抱くという方向性のものではなくてかなり突拍子もないものです。それでもこれだけぶっ飛んだトリックを堂々と一つの作品として完成させたということに対して違う角度から尊敬の念は浮かんできました。

 

しかし小説というものはこれでいいのではないかと思っています。読んでいるときは間違いなく楽しかったし半分を過ぎたあたりから読むのを止められなくなる魅力がありました。一番嫌な小説は地味な展開で憂鬱な人間関係をゴチャゴチャ続けた挙句スカッとする展開もなく終わってしまうものです。

 

その点この小説は基本明るい空気の中で南国に旅行に行きます。登場人物もみんな明るくていちおうまともな社会人です。さらにとんでもトリックによりスカっとするといえばします。

 

[探偵は突飛なキャラクターでないといけないのだろうか]

探偵はシリーズ化されているキャラクターで援交している女子高生です。このタイプの探偵も初めて見ました。忘却探偵、貴族探偵など探偵は変わった人間でないとダメなのでしょうか。普通の会社員が事件の真相を解くというのはつまらないのでしょうか。この小説の語り手は役所に勤めるミステリーファンの若者でしたが十分探偵役もつとまりそうに感じました。

 

でもやはり探偵というのは変わった職業でエキセントリックな言動をして周囲を振り回さないと魅力的でないのかもしれません。そう考えるとこの小説の女子高生探偵は少し変わっているけど言動は比較的まともです。だから別に女子高生である必要はなかったようにも感じます。それでも中年のおっさんが探偵よりは女子高生が探偵の方が面白いということでしょうか。

 

スポンサーリンク

 

 

[まとめ]

この小説を僕は楽しんだのですが他人には勧められません。人によっては読み終わった後怒りで放り投げるかもしれません。でも僕は十分楽しめたのでこの作者の他の本も読んでみようと思います。もう普通の小説はうんざりなのです。少しくらい暴走気味のほうがいいのです。そう思っている人ならこの小説を楽しめるかもしれません。

Sponsored Link