[スカッとする小説]
その可能性はすでに考えたという小説が面白かったので同じ著者の小説を読んでみました。前に読んだ小説も異彩を放っていましたが今回もとても変わった小説です。名探偵が起こった事件を解決するのではなくて事件が起こる前に事件を防いで解決してしまう探偵の話です。
命を狙われている5兆円の遺産を受け継ぐ少女を守るために名探偵がわずかな異変から事件を察知して事件を未然に防ぎます。事件が起こる前にすべての危険性を察知してしまうので名探偵は超能力じみた能力を持っているようにみえます。そのためリアリティがやや薄れていますがエンタメとして最高に面白いです。
自分がなぜ小説を読んでいるかというとスカッとしたいからです。そういう意味では本当にスカッとできる小説です。中にはひたすら主人公がつらい思いをして我慢して読み続けてスカッとする展開を待っていたら最後までつらい展開という小説もありました。リアリティなんて少々そこなってもいいから爽快な気持ちになりたいのです。
この小説では少女の命を狙う人たちに名探偵がカウンター攻撃をしていくのが楽しいです。まだ前巻しか読んでいないですが下巻がどうなるか楽しみです。
[論理的でこ気味良い]
名探偵が超能力じみた能力を持っておりキャラクターもそうとう立っておりラノベ的な感覚もあるのですがトリックを見破る論理は筋が通っておりその部分はリアリティがあるといえます。どうやって探偵が犯行を未然に防いだのかの解答編を読んでいるとこ気味よいです。
この著者が本当に天才だと思うのはこの論理の組立が本当に細かくてそれなりに筋が通っているように思えるところです。普通の人間がいくら考えても思いつかないであろう論理を物語の中に組み込んでいくのです。必死に考えて思いつくものではないだろうからこれが才能ということなのでしょう。
[ページをめくる手がとまらなくなる瞬間が好き]
小説をなぜ読むかというとスカッとしたいからだと書きました。その他の理由をあげるとすると謎解きの場面になりページをめくる手がとまらなくなる瞬間を味わうためということもあります。だから僕は推理小説を読むのが好きです。人間の内面を描くと称してやたらとうつ展開の小説は本当に苦手です。
うつミスというジャンルの小説もありますがつい読んでしまって本当に後悔しました。この小説はいい意味で能天気な雰囲気があり登場人物の名前も性格も変わった人間がいっぱいいて明るい展開です。長編でありながら短編が集まったようでもあり謎解きが何回もあるのでそのたびにページをめくる手が止まらなくなります。
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[まとめ]
エンターテイメントとして一級の作品だと思います。こういう作品を読むと小説家になるということはプロ野球選手になるとか宇宙飛行士になるレベルで大変だよなと思ってしまいます。推理小説好きの人間なら読んでみて欲しいと思います。