自由を求めて

セミリタイアを目指す40代会社員の日々感じたことの記録をしていこうと思います。連絡先はkenkou146@gmail.comです。

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西村寿行 滅びの笛を読んだ感想

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滅びの笛 (徳間文庫)

滅びの笛 (徳間文庫)

 

 

滅びの笛という作品はずっと以前にAMAZON キンドルのキャンペーンで安くしていたので買ったまま忘れていました。200円とか300円で安く買った本はあまり執着がないのでそのまま忘れて読まないことがあります。読む本がなくなり探していたところでそういえば買ったけど読んでいない本があるなと思い出し探して読み始めました。作家の名前も聞いたことがなかったしどんな内容の作品かも覚えていませんでした。

 

内容は始めのうちは役人の仕事の話で地味でした。通勤電車で少しずつ読んでいくとだんだん面白くなり半分位読んだあたりではまり始め一気に読んでしまいました。この作品はいわゆるパニックものと呼ばれるジャンルです。ドブネズミが大量発生して人間を襲い始めさらには病原菌をばらまき一つの都市が壊滅するという話です。ドブネズミが大量発生して人間を襲うというのは僕には説得力があるように感じました。

 

というのもさいとうたかをの「サバイバル」という漫画を昔友人から借りて読んだことがあるからです。その作品もネズミとの戦いを描いたものでネズミの恐ろしさを嫌というほど思い知らされました。ネズミの恐ろしさの一つはその繁殖力の旺盛さです。1組のねずみが1年後には5千匹になるそうです。増えたネズミがまた同じように子供をつくるわけだからまさにネズミ算式に増えていくのです。

 

そのネズミは毎日自分の体重の4分の1の重さのエサを食べないと飢え死にするそうです。だからなんでもかじりなんでも食べます。丈夫な歯を持ち人間で襲いかねない食欲を持っています。とくにドブネズミは鳩くらい大きくなるものもいるらしく恐怖の対象としてはゾンビ並と言えます。そのドブネズミがこの小説では様々な要因により20億匹まで増えてしまい人間都市を襲い始めます。

 

そして人間はいいようにネズミにやられっぱなしになります。警察や自衛隊でもネズミに歯がたちません。圧倒的な数で小さく素早いネズミは全滅させようがないのです。それが恐怖とともになぜか爽快感を感じてしまいました。自然を破壊しておごり高ぶる人間に怒りの一撃を食らわしているように感じました。この小説のテーマとして自然破壊というものがあります。

 

主人公は役所の人間で自然の生態系を守るために必死で狩猟禁止を法制化しようと動きます。しかしアメリカで銃を禁止するのが難しいように日本でも銃のメーカーなど様々な圧力団体や役所のセクショナリズム、業者との癒着に阻まれて結局何もできずにいます。生活のためにでもなく娯楽のために狐やイタチ、鳥類を殺してネズミの天敵がいなくなりネズミの大量発生につながります。

 

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そういう調子に乗っていた役人や政治家、業者がネズミの脅威にさらされて青ざめる姿は自業自得という面があります。ネズミに頑張って腐った人間社会を叩きのめしてくれというような気持ちになります。しかしまったくなんの罪もない一般市民も死んで行くので 恐怖や理不尽という気持ちも感じます。縄文時代から人間はネズミに悩まされてきました。

 

さらにペストなどの病原菌を広めて何百万という人間を死に追いやったという歴史的な事実があります。読んでいると恐怖に説得力がありました。西村寿行という作家は知らなかったけど売り出し中の作家かなと注目しました。しかし調べてみるとすでに死んでいる作家で一昔前のベストセラー作家でした。作品も結構昔の作品ですがあまり古びた感じがしないのはたいしたものだと感心しました。

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