自由を求めて

セミリタイアを目指す40代会社員の日々感じたことの記録をしていこうと思います。連絡先はkenkou146@gmail.comです。

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夏目漱石の「それから」の主人公が勤労精神がなくて面白い

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それから 門 (文春文庫)

それから 門 (文春文庫)

 

 

歴史に残る文豪、夏目漱石が「それから」という小説で今で言うところのニートを書いています。当時と現代では社会背景が違いますのでニートと言っていいかどうか難しいところもあります。ただ「それから」の主人公代助は大学を卒業したにも関わらず30になっても親のすねをかじってブラブラしているのでニートといってよさそうです。当時はニートという言葉もなかったですが本当にこの主人公はなにもせずにブラブラしているだけなのです。だけどそれだけの描写なのになぜかとても面白い。何が面白いかと言えば代助の頭の中の考えが面白いのです。

 

自分がなにもせずにブラブラしているのをやたらと小難しい理屈を持ち出して正当化します。父親に何かしたらどうだと言われるとむしろ父親を軽蔑したような目でみます。心の中でも軽蔑していて父親は資産家で父親の援助で生きているのに父親は古い時代の考えにとらわれていると哀れみを感じています。現代だけでなく当時としても恐らく主人公は変わった人間として見られていたはずですが主人公は特に悩むでもなく明るく生きています。

 

親友の平岡からなぜ働かないのかと聞かれた時も織田信長の料理人の話を持ち出し生活のために働くことのデメリットを語ります。あれやこれやと理屈をつけて結局自分が働かないのは社会が悪いと語ります。屁理屈であり甘ったれるなと言われてもしかたありませんが僕には代助の考え方が非常に心地よく感じます。僕が働きたくないのも結局のところ社会が悪いのです。

 

親友の平岡は自分は生活のために働かなくてはならない、働いていれば社会のことなど気にしている暇はないと語ります。平岡には働かなくていい身分の代助に対していらだちと嫉妬があります。平岡の言いたいことはよくわかります。2人の問答はどちらの考えも自分自身とシンクロしています。それでも生活のために働くのは害悪だと言わんばかりの代助の考えのほうが僕の中ではしっくりします。

 

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代助はニートであるにも関わらず親からしつこく結婚を勧められます。ニートなのに結婚を勧められるのが現代と違う時代という気がします。結婚すれば何か始めるだろうということで進められるのですが結婚難の現代日本からすれば異世界のような感じです。昔は女性は結婚するしか進路はなかったので資産家の息子というのは選び放題だったのでしょう。しかし代助は何となく結婚も面倒臭いといった感じでブラブラしています。

 

そんな状況で親友の経済的困窮を救おうと兄や兄の奥さんにお金を都合してくれと頼んだりします。底抜けのお人よしというかお坊ちゃんというか浮世離れした感覚です。ですが働きもせず親や兄にお金をせびり、それでいてみんなに愛されてのんびり明るく過ごす代助は僕の理想と言えます。ただ小説はこれから破滅的な展開になっていくので、そこのところは共感できない部分です。

 

代助は親友の奥さんに手をだして親からも勘当されてしまうのです。まだそこまで読んでいないのですが話の結末を知っているだけに読むのが気が重いです。最初から最後までのんびりダラダラ過ごすニートの話なら僕にとって最高傑作だったのですが残念です。

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